富山湾沿いのまち、射水市新湊放生津地区。鎌倉時代には越中の政治・経済・文化の中心として、江戸時代には北前船の中継地として、栄えたところです。 この放生津地区を東西に流れるのが、内川です。 新湊大橋のかかる富山新港から、奈呉の浦あたりまでの約2.6kmの水路を内川と呼びます。名前はいたって普通ですが、千数百年前から現在に至るまで、人々の生活と驚くほど近いところにある川なのです。


左:(財)高樹会所蔵・射水市新湊博物館保管「射水郡分間絵図(文政六年九月)」より一部抜粋
右:上記絵図を簡素化したものに、「内川」「富山湾」「富山新港」の位置を追加
内川周辺で体感できる、水辺を中心に営まれている独特な生活感に、初めての人なら興奮してしまうかもしれません。ちょっと注意して歩いてみると、湊町で脈々と培われてきた一筋縄では行かない歴史や文化の断片を発見できます。まるで、内川全体が美術館か博物館かのような、すごい密度と濃度で迫ってきます。
「景観」とか「歴史」とか「文化」という言葉で、半ば強引に見た目だけを残したものとは違い、内川にはリアルな景色があります。ここに暮らす人々それぞれの生き方が、結果的にこの独特の風景をつくっています。「どうしたの?」「なんだそれ?」とツッコミたくなるところがあるのも魅力のひとつ。自由奔放なところ、放置されているところ…そういう場所もあるから、歩いて楽しいのです。
「内川さんぽ」に、知識や経験は必要ありません。川沿いや路地を歩くだけで、プチ探検気分になれちゃいます。ディープで個性的なお店に挑戦してみるもよし、ちょっと勇気を出して地元の方に声をかけてみるもよし!あなたのペースで、ブラブラしてみてください!…さぁ、さっそく出発しましょう!
文・写真:明石あおい
