
内川は、旧・新湊市の放生津地区を流れる川。千数百年前から現在に至るまで、地元の人々の生活とともにある「生きた川」です。「川と人が、これだけ近く生活している場所があったなんて!」… 初めて内川を見た人なら、この風景に、きっと衝撃を受けるはず。
川のゆるいカーブに沿って並ぶ定置網の漁船、増改築によってランダムに壁を共有して連なる家々、個性豊かな橋たち。まるで、水に浮かぶまちのような内川周辺の風景は、いろんなものが絶妙なバランスで存在しているのです。
川と歩道の間には特に手すりやガードはありません。天気のよい日には、川沿いのベンチに腰かけ水辺を眺めてくつろぐ人や、川と歩道の間の限られた土地を使って植えられた花木(たまに野菜も!)などの世話をする人など、思い思いに過ごす人を見かけます。そこには、内川とともにゆるやかに流れる時間があります。
漁船の上に見事にまとめられたロープに見とれたり、軒先に干された防水スーツを見つけたり。日中の散策では、早朝に活動する漁師さんとはなかなか会えないけれど、彼らの営みは至るところで発見できます。魚の入っていた発泡スチロールのトロ箱が、草花を育てるプランターの代わりになっている光景も湊町ならではです。
歩けば体感できる、湊町の独特の生活感。ここで暮らして来た人々の歴史や知恵、考え方が、風景に凝縮されているのです。

- 1┃きれいにまとめられているロープ。何気ない風景にも漁師さんたちのワザが光る。
- 2┃30年ほど前はもっと水面が低かったらしい。溢れそうで溢れない水面には、広い広い空が映る。
- 3┃水辺と歩道の間、限られた公共空間に植えられている花や木は、手入れが行き届いている。
- 4┃「山王橋(通称=手の橋)」のたもとの細い階段。子どもたちがよく鬼ごっこをしている。
- 5┃川沿いのちょっとおしゃれな街灯。お祭りの日に大漁旗でおめかし。
- 6┃手すりがないから、水位の高くない時は岸に腰かけられる。
- 7┃川沿いには多くのベンチがあるけれど、お気に入りの椅子やパラソル持参でくつろぐ人々も少なくない。