新湊曳山祭の概要
歴史を辿ると江戸時代まで遡る、新湊曳山祭。
その長い歴史の背景には、町民たちが大切に守り継いできた伝統と、熱い想いがありました。

昼花山
日中の曳山巡行は「花山」と呼ばれ、赤・白・黄色の造花を付けた30本あまりの花枝を傘状に整えた「花傘」で飾られています。

夜提灯山
夕方になると、曳山は花傘を外し、中山から上部を250個あまりの提灯で覆った「提灯山」に装いを改めます。提灯山が一斉に点灯する光景は幻想的で見どころの一つです。
特徴
放生津八幡宮
秋季祭礼の一部
新湊曳山祭は、放生津八幡宮秋季祭礼の祭事のひとつで、曳山巡行の前日は海上からの神霊をお迎えする魂迎式、10月2日は築山と例大祭・放生会式、翌3日は報賽祭が行われます。毎年神輿が渡幸し、曳山は神輿に供奉する形で受け継がれています。
室町時代には金箔貼の神輿が渡幸した記録があり、慶安3年(1650)に古新町曳山が初めて供奉しました。
昼と夜で異なる様相を
見せる
昼は大きな花傘が華麗な「花山」、夜は万燈の美しい「提灯山」と、昼夜2つの顔を楽しめる放生津の曳山。お囃子も昼と夜ではガラリと変わります。
優れた工芸技術で
維持されてきた曳山
多くの曳山は、放生津八幡宮の宮大工、高瀬一門の棟梁・門人らが中心となって設計・建造されました。放生津には彫りの名人・矢野啓通もいました。さらに、高岡の金工、井波の彫刻、城端の漆芸など各地域の匠たちの技術で仕上げられた曳山は、動く芸術品。簡単な修理や改修は地元の建具屋さんがすることも少なくありませんでした。
町中に響き渡る
曳山囃子
曳山は、下山に乗った笛・太鼓・鉦の囃子方(三味線が入る町もある)が曳山囃子を奏でながら巡行します。各町でそれぞれ違ったお囃子が継承されており、厳かな曲から賑やかな曲、落ち着いた曲まで、多種多様な曲調があるのも、この祭の魅力の一つです。
勇壮な角回し
町中の角を曲がる「角回し」。徐々にテンポが早くなる「弥栄」(ケンカ囃子)という勇壮な囃子にあわせて、威勢の良いかけ声と共に曲がっていきます。曳山の舵取りは「浜」「田んぼ」などの掛け声で指示します。
放生津八幡宮秋季祭礼の
曳山と築山
新湊曳山祭は、射水市八幡町にある放生津八幡宮の秋季祭礼の中で行われる祭事のうちの一つで、13基の曳山が巡行する「曳山」と、臨時の祭壇を設けて海上から神霊を迎える「築山」、主に二つの祭事が行われています。

木彫りの狛犬
放生津八幡宮の拝殿に安置されている一対の狛犬は、幼少より木彫りの天才と呼ばれた、本市出身の矢野啓通により製作されました。これらはけやきの木を手で彫って作られており、高さは150〜160cmにも及びます。
築山行事
9月30日、10月2日

放生津八幡宮境内に臨時の祭壇を設置し、海上から神霊を迎え入れる「築山」。
この祭事は、9月30日の魂迎式・築山祭(小祭)と10月2日の築山飾・築山祭(大祭)のふたつから構成されます。
魂迎式では、火を焚いて境内を清めたのち、境内東側の老松を依り代として、神霊をお迎えします。
10月2日の未明になると、境内に祭壇の飾り付けが始まり、毎年地域ゆかりの歴史や人物をテーマとした人形が祭壇に飾られます。日が沈む前に飾り人形を片付けないと神が怒るとの伝承があり、飾り付けられた人形は日中だけ展示され、その日の夕方になると速やかに片付けられます。
魂迎式

祭壇

曳山行事
10月1日

新湊曳山祭の歴史は非常に長く、慶安3年(1650)、神輿に古新町の曳山が供奉したことから発展していったと言われています。
その後、徐々に各町で曳山が作られ、現在の13町が揃った「本曳き」と呼ばれる形になりました。
曳山

鬮取式

みどころ
毎年入れ変わる
曳山の巡行経路

鬮取式8月初めの大安の日
曳山巡行の並び順は、江戸時代から続く「鬮取式」で決まります。
内川を挟んで南北各6町を2〜7番までの「前山」と、8〜13番の「後山」に分けて、それぞれくじを引き順番を決めます。その年「前山」にあたる6町には昼の花山が巡行し、「後山」にあたる6町には夜の提灯山が巡行します。毎年、前山と後山は入れ替わり、交互に経路を替えて曳き廻します。
また、新湊曳山祭の創始といわれる古新町は、鬮除け(くじを引かない)で毎年先頭に固定されています。

※矢印はイメージです。詳細な経路はパンフレットを参照してください。
毎年、前山と後山は入れ替わり、北6町が前山の年は北廻り、南6町が前山の年は南廻りの経路となります。
巡行を彩る
曳山囃子

曳山が動くときに、下山に乗った囃子方が演奏する「曳山囃子」。この曳山囃子は大きく「本囃子」と「雑曲」に分けられ、賑やかな曲から落ち着いた曲まで、さまざまな曲調のお囃子が、場面に合わせて演奏されます。
各町ごとに少しずつ異なる音色や選曲も、この曳山祭の魅力の一つです。
囃子方の構成は町によって異なりますが、少なくとも太鼓1人、笛1人、鐘1人が下山に乗っており、町によっては三味線が用いられることもあります。
本囃子
主に落ち着いた曲調のお囃子で、正式なお囃子とされています。各町ごとに10曲程度が継承されていて、全曲を通して演奏します。
主に八幡宮から出発する際や、他の町内に入る際に演奏されます。
雑曲
巡行中の場面に応じて演奏されるのがこの雑曲です。角回しのときには「弥栄」(ケンカ囃子)という勇壮な囃子とともに曳山が豪快に角を曲がっていきます。祝儀をいただいた際には「チンチコ」の囃子にあわせて前人形が可愛らしい動きを演じます。
また「宮づくし」は全ての町の曳山が共通して歌う雑曲で、各町の大合唱は必見です。
放生津型曳山の
構造と特徴

新湊曳山祭の曳山は、中央に立てた心柱を、「標識(ダシ)」と「花傘」で飾り付けた、「花傘山」と呼ばれる形態の曳山です。この花傘山は、新湊(放生津)を中心に「放生津型」と呼ばれる独自の文化圏を形成し、近隣の曳山文化にも大きな影響を与えています。
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標識(ダシ)
曳山の一番上に飾られる。各町で異なるモチーフとなっており、見比べてみると面白いかも。

花傘
昼の花山の装飾である、曳山上部を覆う花傘。各町で手作りされており、竹枝を垂下させて傘状になっている。

提灯
夜になると花傘をおよそ250個の提灯に付け変える。かつては全て蝋燭で灯されており、火事もあったとか。

王様
上山に載せる、各町の守護神の等身大の人形。日本や中国の神・武将がモチーフとなっている。

前人形
上山に載せるからくり人形。祝儀をいただいた際には、「チンチコ」にあわせて可愛らしい所作を見せる。

幔幕
下山に乗った囃子方を隠す布。かつては無地のものが多かったが、現在は様々な絵柄が刺繍されているものもある。
各町の曳山
13の町のそれぞれ趣向を凝らした個性豊かな曳山が、新湊の町を練り歩きます。
各町ごとの違いを観察すると、お気に入りの曳山が見つかるかも。
一番山
古新町
創建:慶安3年(1650)


標識:
鈷鈴

王様:
諸葛孔明

前人形:
唐子の太鼓叩き

法被
内川北6町
長徳寺
創建:安永2年頃(1773)


標識:
揚羽蝶

王様:
神武天皇

前人形:
唐子遊び

法被
奈呉町
創建:元禄5年(1692)


標識:
錫杖

王様:
恵比須

前人形:
唐子遊び

法被
中町
創建:元禄5年(1692)


標識:
寿老人と松鶴

王様:
寿老人

前人形:
唐子(4体)

法被
四十物町
創建:享保3年(1718)


標識:
打出の小槌

王様:
菊慈童

前人形:
三番叟

法被
東町
創建:享保3年(1718)


標識:
諫鼓の鳥

王様:
尉と姥

前人形:
三番叟

法被
荒屋町
創建:明和7年(1770)


標識:
千枚分銅

王様:
大黒

前人形:
唐子懸垂回転

法被
内川南6町
三日曽根
創建:享保6年(1721)


標識:
和同開珎

王様:
布袋

前人形:
唐子懸垂回転

法被
新町
創建:正徳5年(1715)


標識:
法螺貝

王様:
神功皇后

王様:
武内宿禰

法被
紺屋町
創建:寛政元年(1789)


標識:
振鼓

王様:
日本武尊

前人形:
巫子

法被
立町
創建:享保6年(1721)


標識:
「壽」

王様:
孔子

前人形:
猿公の太鼓叩き

法被
法土寺町
創建:明和年間(1764~)


標識:
軍配

王様:
関羽・張飛

前人形:
猿公

法被
南立町
創建:文久2年(1862)


標識:
五三の桐

王様:
住吉大明神

前人形:
唐子遊び

法被
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お食事イメージ