会社の拡大にしか興味の無いIT 関連企業CEO・中原祐馬(竹野内豊)の携帯に、共に起業しながらも会社を追い出す形で決別してしまった、かつての親友・航平から、ここ数日、何度も着信があった。胸騒ぎを覚えた祐馬が航平の故郷に向かうと、そこで待っていたのは予期せぬ親友の死だった。町内会長の西村玄太郎(西田敏行)に話を聞くと、病に冒され余命僅かだった航平は、最後に曳山につながりたいと故郷の土を踏んでいた。事態を飲み込めない祐馬が線香をあげようとするも、航平の義兄・鉄也(江口洋介)は会社を追い出したあげく、航平からの電話を無視し続けた祐馬を許すことが出来ず、殴りかかってしまう。故人を惜しむ場が荒れるのを防いだのは、航平の忘れ形見ともいえる娘・瞳(橋ひかる)の落ち着いた対応だった。かつての親友に子どもがいたことに驚く祐馬は、自分に何か出来ることはないかと瞳に聞くと、物憂げな瞳が重たい口を開いた。「西町から四十物町(あいものちょう)の曳山を取り返してくれますか?」。航平の故郷・富山県の新湊(しんみなと)にある四十物町(あいものちょう)では、前代未聞の曳山譲渡に町が揺れており、約束を反故にした新興の西町に、航平は最期を迎える瞬間まで抗議をしていたのだ。一方、東京では祐馬の会社が不正取引の疑いで強制捜査を受け、祐馬は会社や仲間だけでなく、全てを失ってしまうことに。一人になってしまった祐馬だったが、たった一つだけ残ったもの、瞳との約束を守るため再び新湊(しんみなと)に向かうと、そこでは祭りがすぐ間近に迫っていた――。

 時代の空気を炙り出す鋭い着眼点と、それぞれの時代を代表する役者を惹き付けてやまない独自の演出術で、日本のテレビドラマ界に確固たる地位を築いてきた巨匠・石橋冠。「池中玄太80キロ」(80年)、「ラブ・レター」(03年)、「点と線」(07年)、「刑事一代」(09年)といった大ヒット作品を通じて日本中の家庭に深い感動を送り届けてきた監督が、その胸に抱き続けてきた「映画を1本だけ撮りたい」という強い衝動。今、ようやく探し求めてきたテーマを見つけ、豪華俳優陣と共にその夢を銀幕に描く機会に巡り合うことができました。主演には40代半ばを迎え繊細な演技で存在感を放つ竹野内豊。石橋監督の作品に初出演ながらも自身の代表作ともいえる演技を本作で披露しています。
 その他出演者にも松坂桃李、優香、小池栄子、美保純、市川実日子、橋ひかる、立川志の輔、室井滋、柄本明、ビートたけしといった、世代を超えた実力派俳優が集結。2016年の始まりに相応しい全ての日本人の心に響く感動の人間ドラマがここに誕生しました。

平成27年 3月20日(金)〜3月30日(月)富山ロケ(第1次)
平成27年 4月26日(日)〜5月11日(月)富山ロケ(第2次)